世界遺産条約は、1972年の第17回ユネスコ総会で採択されました。文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界遺産として保護、保存することが重要であるとの観点から、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的としています。日本は1992年にこの条約を批准しました。
 世界遺産とは、この世界遺産条約に基づいて、世界遺産リストに記載(登録)された、世界的に「顕著な普遍的価値」をもつ記念物、遺跡、自然の地域などを人類の「大切な宝物」として守り、国家や民族を超えて未来世代に引き継いで行くべき『文化』の遺産のことです。

 世界遺産に登録されるためには、第1に、世界的に顕著な普遍的価値を有することが前提となります。第2に、世界遺産の登録基準の1つ以上を満たしている必要があります。第3に、世界遺産としての価値を将来にわたって継承していくための、保護・管理措置が講じられている必要があります。
世界遺産に関する詳しい情報は、日本ユネスコ協会HPをご覧下さい。

 世界遺産というとピラミッド、万里の長城、ヴェルサイユ宮殿のような壮大な遺跡や華麗な建築などが有名です。しかし、近年はイギリスの製鉄遺跡・紡績工場、ドイツの製鉄工場、スウェーデンの製鉄場、オランダの排水機場、フィンランドの製剤板紙工場など欧州各国の近代産業遺産が、人類の歴史を大きく変えた産業革命の原点として登録されています。
 さて、「世界の工場」アジアで最初に産業近代化に成功した日本ではどうでしょうか。日本の産業近代化は、その後、アジア諸国の産業近代化にも共通しますが、西欧諸国からの技術導入、国家の主導、輸出産業の重点育成という三つの特徴を持っていました。国内でこの三つの特徴を完全に兼ね備えた最古の産業遺産であり、しかも明治5年(1872年)の創業当時そのままの姿で唯一現存しているのが富岡製糸場です。このようなことから、富岡製糸場は日本とアジアの産業近代化の歴史的出発点として、そして西欧技術のアジアへの導入という東西文明の交流の典型的な例として、さらにここから育った日本製糸業が世界市場を席巻したという産業私的な意義から人類共通の遺産としてふさわしい文化財といえます。



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NPO法人「富岡製糸場を愛する会」